早産の赤ちゃん

早産児Q&A

Q1 早産児の発育に関する情報が少ないので不安です。

A1

赤ちゃんの身長・体重などの発育は、修正月齢で考えればいいと思っていても、ほかの赤ちゃんと比較して焦ったり、情報が少ないため不安に思うお母さんが多いようです。
目安として、出生体重が1,000~1,500gの早産児は2歳頃までには、身長・体重、発達ともに正期産児に追いつくことが多く、1,000g未満の早産児も、ゆっくりですがほとんどが6~9歳頃までには追いつくとされています。短い期間でみるのではなく、ゆったりと成長を見守りましょう。ただし、病気や障害がある場合や、その子のペースにより成長や発達がゆっくりになる場合があります。気になる場合は、医師に相談し定期的に検診を受けるようにしましょう。

Q2 早産児はみんな障害のリスクがあるのでしょうか?

A2

新生児医療の進歩でリスクは減少していますが、ある程度の割合で障害が残ることがあるようです。
低出生体重児の発達の障害(神経学的障害)の頻度は、生まれたときの体重とお母さんのお腹の中にいた期間によって異なります。例として、2003~2005年に生まれた極低出生体重児の3歳時の脳性麻痺の頻度を調査した結果、生まれたときに1,000g未満だった子どもは10.9%、生まれたときに1,000~1,500gだった子どもは6.4%にみられたとの報告があります1)

  • 出典
  • 1)

    みずほ情報総研株式会社 小さく産まれた赤ちゃんへの保健指導のあり方に関する調査研究会. 低出生体重児保健指導マニュアル 小さく生まれた赤ちゃんの地域支援. 平成31年3月(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000592914.pdf) [2022年10月26日確認]

Q3 生後1年たっても発達が追いつかないのですが?

A3

目安として、出生体重が1,500g以上の早産児は1歳頃まで、出生体重1,250~1,500gの早産児は2歳頃までには、身長・体重、発達ともに正期産児に追いつく(キャッチアップする)ことが多いようです。あせらず見守っていきましょう。気になることがありましたら、医師に相談しましょう。

Q4 修正月齢に換算しても小さめで心配です。

A4

ほとんどが6歳頃、遅くとも9歳頃までには身長・体重、発達ともに追いつくとされています。ただし、その子なりのペースがあるので、心配な場合は健診時などに相談しましょう。

Q5 体重測定の仕方を教えてください。

A5

早産児の体力や免疫力をつけるためにも、体重の増加は気になるところです。家庭の体重計で計測する場合は、お母さんが赤ちゃんを抱っこして一緒に乗って量り、その体重からお母さんの体重を引いたものが赤ちゃんの体重になります。
また、自治体の施設(子育て支援センターなど)で定期的に身体測定の機会を設けていることがありますので、問い合わせてみましょう。
赤ちゃんが小さくて体重のわずかな増減も知りたいといった場合、最近では1g単位で量れる体重計をレンタルすることができます。

Q6 生後減った体重が、なかなかもとに戻りません。

A6

早産児に限らず赤ちゃんは出生直後に体重が減少します。そのうち、おっぱいの量が増えれば体重は徐々に増加します。気になることがあれば医師に相談しましょう。

Q7 上の子の幼稚園やスーパーなど、人の多いところへ連れて行っても大丈夫でしょうか?

A7

どうしても連れて行かなければいけない場合を除いて、赤ちゃんを連れて行くのは控えたほうがよいでしょう。早産児に限らず、赤ちゃんは免疫が未発達なため、人の多いところへ行くとさまざまな感染症にかかるおそれがあり、場合によっては重症となることも考えられます。幼稚園の送り迎えなどは、ほかのお母さんに頼んでみるのもひとつのアイデアかもしれません。人の多いところへ連れて行ったあとは、感染症の予防のため、帰宅後には手洗い・うがいを家族で必ず実行しましょう。

Q8 お父さんがヘビースモーカーですが、禁煙したほうがいいですよね?

A8

早産児は呼吸器が弱いことも多いので、受動喫煙を予防するためにも禁煙を。

Q9 ゼロ歳で預かってくれる保育園に通わせたいのですが、大丈夫でしょうか?

A9

そのお子さんの状態にもよると思いますので、保育先によく事情を話し、理解して協力してもらえるか確認しましょう。

Q10 小さめの赤ちゃんにあうサイズの洋服はありますか?

A10

新生児用よりも小さい早産児サイズの服を販売しているブランドがあります。ネットショップなどで購入することができるようです。

Q11 早産児はかぜなどの感染症にかかりやすいのでしょうか?

A11

早産児は、早く生まれてきたぶん、お母さんから受け取る抗体が少なく、感染症にかかりやすいといわれています。感染症が流行している時期は外出を控えるなど、予防対策をしっかり行うことが大切です。

Q12 アプガースコアってなんですか?

A12

出生時の赤ちゃんの「元気さ」を10点満点で表した数値です。
赤ちゃんの皮膚の色、心拍数、刺激に対する反応、活動性(筋緊張)、呼吸の5項目をそれぞれ0~2点の3段階、合計10点で評価します。

Q13 NICU(新生児集中治療室)ってどんなところですか?

A13

新生児集中治療室(neonatal intensive care unit)の意味です。特別な設備と熟練した医療スタッフが一体となって、病気の赤ちゃんや体重の小さな早産の赤ちゃんたちの集中的な治療とケアにあたります。

Q14 定期健診のときに気をつけることはありますか?

A14

日ごろ気になっていることがあったら、メモをしておいてまとめて聞きましょう。気になることは何でも質問しておくと安心です。

Q15 母乳をきちんと飲めているかわかりません。

A15

早産児に母乳をあげる際に、赤ちゃんの吸う力が弱かったり、疲れてすぐ眠ってしまったりして、十分な量を飲めているかわからないことがあります。
不安に感じたら赤ちゃんの体重を量り、少しずつでも増えているか確認するとよいでしょう。あまりにも飲みが悪くて心配な場合は、母乳をミルクにしてみたり、ミルクの銘柄を変えたり、ほ乳瓶の乳首の形や材質を変えてみるとよく飲む場合がありますので、赤ちゃんの好みを探してみてください。それでも不安な場合は医師をはじめ助産師や看護師に相談しましょう。

Q16 直接おっぱいを吸われないので、母乳が出なくなってしまいました。

A16

おっぱいマッサージをすることで改善するかもしれません。母乳外来や、母乳育児を専門とした助産院などに相談してみましょう。

Q17 かぜや感染症が心配で家に引きこもりがち。家にひとりでいると、どんどん不安になってきます。

A17

感染症にかかりやすい早産児の育児では、外出や人に会うことを控えがちです。ときに孤立を感じたり、赤ちゃんの変化に敏感になってしまうこともあるでしょう。
最近では、SNSを利用して、同じような悩みをもつお母さんの情報を得たり、安心できる育児相談サイトに質問し、早産児を育てているお母さんからのアドバイスをもらうことも多いようです。また、NICUに入院していた赤ちゃんをもつ親ごさんどうしで情報交換をしたり、早産児の親ごさんのサークルや早産児に関する講演会があれば、参加してみてはいかがでしょう。

Q18 早産で生まれたのは自分のせいだと思い、毎日涙が止まりません。

A18

早産はお母さんの責任ではありません。そのつらさをひとりで抱え込まずに、病院のスタッフや心理カウンセラーなどに話を聞いてもらいましょう。

Q19 赤ちゃんがまだNICUにいるのですが、同じ時期に生まれた正期産児ちゃんとお母さんを見ると、うらやましくて悲しくなります。

A19

赤ちゃんは誰もが祝福されて生まれてくるもの。あなたの赤ちゃんもお父さんとお母さんの愛情に包まれて、幸せいっぱいにこの世界に誕生したのです。赤ちゃんも、あなたが生んでくれたことを感謝していますよ。赤ちゃんが退院してきたら、いまの悲しさを忘れるぐらい、笑顔あふれる毎日が始まる日を楽しみに待ちましょう。一人でかかえこまないことも大切です。つらくなる前に周りの人や医療従事者に相談しましょう。

Q20 発達が遅れている気がして、心配でたまりません。

A20

まず、医療機関に相談して、お子さんの状態を正しく把握しましょう。もし、障害があったとしても、いまは発達をバックアップするプログラムも充実しています。

Q21 保育器に長くいたために、スキンシップが少ないことが心配です。お母さんとわかるかな?

A21

大丈夫、赤ちゃんは大好きなお母さんが誰なのか、ちゃんとわかっていますよ。最近はカンガルーケアやタッチケアという、赤ちゃんと直接ふれあうケアもどんどん取り入れられています。まず、NICUのスタッフに相談してみましょう。

  • 参考
  • 1)

    楠田 聡 監. 新生児の疾患・治療・ケア: 家族への説明に使える! イラストでわかる. メディカ出版. 平成28年4月第2版

  • 2)

    カンガルーケア・ガイドライン ワーキンググループ 編:根拠と総意に基づくカンガルーケア・ガイドライン 普及版(https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/kc/fukyu/1_kc.pdf) [2022年10月26日確認]

Q22 退院後、赤ちゃんの悩みは誰に相談すればいいの?

A22

退院後は、地域の保健師が中心となって新米のお母さんをフォローしてくれます。ご家庭で育児をするうえで困ったことや疑問点があれば、なんでも相談しましょう。
また、赤ちゃんの体調で不安なことは、入院していたNICUの医師や看護師へ電話相談したり、フォローアップ外来時にたずねてみましょう。
些細なことでもひとりで悩みを抱え込まず、子育ての経験のある母親や親戚、友人などに相談してみることです。周りの人も一緒に解決策を考えてくれるのではないでしょうか。

Q23 周りの人がしてあげられることはありますか?

A23

産後すぐは体力を消耗していることに加えて、授乳など赤ちゃんの世話で大変なお母さんの負担を軽くするために、家族や周りの人の協力や理解が不可欠です。家事の分担など積極的に協力し、家族みんなで乗り切っていきましょう。
また、早産児のお母さんは、自分に原因がなくても、早産であったことに疑問を感じて自分を責めたり、小さい赤ちゃんの世話に気を張っていることが多いようです。お母さんがゆったりとした気持ちで育児ができるように理解を示すとともに、ときには自分の好きなことをする時間をもつなど、気分転換ができるようにしてあげましょう。

監修:長谷川 久弥 先生
東京女子医科大学附属足立医療センター 新生児科 教授