心疾患の赤ちゃん

手術をすることになったら

手術前に注意すること

心臓の手術はからだへの負担が大きいので、体力や免疫力が落ちてしまいます。そのため、手術前に感染症にかかると、重症化する可能性があることから、手術が延期となる場合もあります。
以下のことに注意して、入院・手術に備えましょう。

かぜをひかないようにする

とくにRSウイルス感染症に気をつけましょう。

伝染病に気をつける

人ごみは避けましょう。インフルエンザ、おたふくかぜ、水痘(すいとう)などの感染症が流行していたら、保育園や幼稚園をお休みすることを先生方とご相談ください。

予防接種は早めに済ませる

予防接種の副反応が出るかもしれない時期は、手術を受けることができない場合があります。

虫歯は治しておく

虫歯や中耳炎、肌荒れなどは、完治させておきましょう。

入院中に注意すること

手術が終わると、ほとんどの場合は集中治療室に入室します。
集中治療室では、お子さんが感染症にかかるのを防ぐため、ウイルスや細菌が入り込まないように気をつけています。
感染症対策として、次の制限をしている病院が多いです。

面会時には手洗いとマスク

からだに付着しているウイルスや細菌を、赤ちゃんにうつさないようにします。

かぜの人は面会不可

かぜの症状(咳、くしゃみ、発熱)などがあるときは、面会を控えましょう。

年齢制限

保育園・幼稚園や小学校のお兄ちゃんやお姉ちゃんは、集団生活の中でかぜのウイルスをもらってきていることがあります。

面会時間や人数の制限

ウイルスや細菌と赤ちゃんが接触する機会を少なくします。

おわりに

ひとくちに先天性心疾患といっても、必ずしもすぐにお薬や手術が必要になるとは限りません。
病気が軽いお子さんでは、運動に制限はなく、健康な子と同じように遊んだり運動したりできます。
一方、生まれてすぐに手術しなければならないお子さんや、元気でも将来のために手術が必要なお子さんもいます。心臓の手術をした場合、集中治療室に入ることも多く手術後しばらく安静が必要ですが、退院する頃には通常元気になります。退院後、外出したり、運動を始める時期については、主治医とよく相談してください。

保育園や幼稚園、そして学校に行くようになったら、担任の先生やクラスメートを含めた学校全体に、お子さんの病気に対する理解を深めてもらうようにはたらきかけてください。
また、体育の授業を含めて安全に学校生活を送るために、どの程度の運動ができるのかを学校に伝える手段として「学校生活管理指導表」を主治医に記載してもらいましょう。

保護者と学校と主治医が密に連絡を取り合い、周囲の温かい協力を得ることで、お子さんも安心して日常生活を送ることができるでしょう。
集団生活を通じて地域・社会に参加できることが、自立心の芽生えにつながります。そして、先天性心疾患をもった方々の大多数が、実際には親として、社会人として、立派に生活しています。

お母さん、お父さんは心配事があればひとりで考え込まないで、専門家に相談したり、ご家族でよく話し合いましょう。
会話をし、リラックスする時間をもつように心がけることは大切です。

監修:長谷川 久弥 先生
東京女子医科大学附属足立医療センター 新生児科 教授